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グローバル化とは、グローバルな市場というくらいですから、市場をどんどん統合していき、寡占化を進めていく現象になります。つまり簡単に言うと、競争力の低い企業(中小企業)が潰れ、競争力の高い多国籍企業がそれらを吸収し、市場を独占していく現象です。

グローバル化すると中小企業は潰れていく

各産業には、様々な規制があります。それらの中には、社会の安定化の為に作られたものもたくさんあります。例えば、大店法というものが有名ですけど、ジャスコのような大規模なショッピングセンターなどが出来ると、その回りにある小規模な商店街は軒並み潰れていきます。

これを、「自助努力が足りない」「自己責任である」という切り捨てることも可能ですが、規模と資本力で大きな差がある時点で、仕入れ価格や広告戦略や利便性などをとっても、小規模店舗と大規模ショッピングセンターでは、端から勝負にならないことが多いわけです。

地方の産業が破壊されれば、社会の不安定化を招くため、これらの小規模店舗を守るためにも大店法という規制があるわけです。ただ、小泉改革の流れで、こうした規制が数多く撤廃されることで、あらゆる産業が弱肉強食、強者の論理に晒されることになります。

そうなると、市場の寡占化はどんどん進みます。京都大学教授の藤井聡先生は、この動画の14:17頃からこう仰っています。
競争法を薦めてらっしゃる経済学者の先生がいらっしゃるんですけども、その方は本の中でこういうことを仰っています。
「日本のマーケットサイズだったら、適正な企業数は、それぞれの業界において2つ、ないし3つである。」
ひどい話ですねえ。

また、新自由主義思想に基づいてグローバル化を推進してきた民主党の玄葉光一郎議員は
「グローバル化のもとでの戦略として正しい選択をされたのではないか。そもそも、日本の自動車メーカーにしても家電メーカーにしても多すぎる」
と仰っています。
こうした新自由主義的な経済学者やグローバル化推進派の議員、そして多国籍企業が名を連ねる経団連、経済同友会は基本的にこの論理で動いていますから、彼らが「グローバル化」「自己責任」「競争」「規制撤廃」「開かれた国へ」「TPP」という言葉がよく出てくるのは、ある意味で主義主張が一貫しているわけです。


グローバル化先進国の韓国に学ぶ

ところで、以前、竹中平蔵先生が「グローバル先進国の韓国に学べ」と言っていたので、韓国のグローバル化による寡占化の状況をまとめてみました。

サムスングループ - Wikipedia
韓国のGDP(国内総生産)はサムスングループに依存する割合が高く、現在韓国のGDPの18%を、輸出の21%を占めている[1]。


韓国の躍進と日本の優位性
国家政策によるこうした極度の寡占化によって、韓国の大企業は国内で上げた利益を研究開発、設備投資、海外市場開拓などに心おきなく回すことができる。この点で韓国の大企業は、日本の大企業よりも断然有利な条件を手にしているのである。(中略)

それでは韓国経済に悩みがないかといえば、そんなことはない。正反対だとさえいえるのである。
  ウォン安頼りの極端な輸出依存体質(2010年でGDPに占める割合43.4%)、海外借入金とGDPがほぼ同じという借金漬け自転車操業体質、国内で稼いだ利益を海外へ投資し海外で得た収益を海外に留め置いて国内を潤さない歪んだ収益構造、巨大企業と一般企業との賃金格差の著しい拡大、時間あたりの労働生産性の低さ(日本の約4分の1)、石油消費効率のあまりにもの悪さ(OECD 加盟国中最低)など、目白押しの状態である。


続 デフレ時代の富国論
現在の韓国におけるガソリン価格は1リットル1825ウォン。日本円にして140円です。既に、ガソリン価格は日本を上回ってしまっているわけですね、韓国は。実質賃金が下がる中、メーカーは寡占化で収益を吊り上げ、さらに通貨安・物価高で生活水準が下がっていくわけですから、韓国国民としては堪らないでしょう。

 だからといって、ウォン安政策を放棄すると、大手輸出企業がグローバル市場で勝てなくなります。とはいえ、大手輸出企業がグローバルで戦う限り、何しろ中国などの企業と競争しなければならないわけで、韓国国民の人件費を上げることなどできません。
 すなわち、現在の韓国は完全に「グローバル化及び寡占化の罠」に取り込まれてしまったわけです。


サムスンとLGのLEDテレビは海外よりも韓国の方が高い
サムスン電子の46型LEDテレビ(D6400)を販売店での価格を基準に見ると、韓国国内では291万ウォン
(約20万3000円)、米国216万ウォン(約15万700円)、ドイツとフランス239万ウォン(約16万6800円)、
マレーシア230万ウォン(約16万500円)で、どこと比較しても60万ウォン(約4万2000円)ほどの差があった。
最も安い中国の172万ウォン(約12万円)に比べると、韓国ではなんと119万ウォン(約8万3000円)も高かった。

 LG電子も同様だ。47型LEDテレビ(LW5700)は韓国国内で264万ウォン(約18万4300円)、英国235万
ウォン(約16万4000円)、オーストラリア230万ウォン(約16万500円)、米国204万ウォン(約14万2400円)、
中国169万ウォン(約11万8000円)だった。韓国の国内価格は他国に比べて少ない場合でおよそ30万ウォン
(約2万1000円)、多い場合では95万ウォン(約6万6300円)も割高だった。

 スマートフォンも同じく韓国国内での販売価格は非常に高い。昨年から販売されているサムスンの
「ネクサスS」は韓国では70万ウォン(約4万8900円)だが、米国では63万ウォン(約4万4000円)だった。
かつて韓国の主要企業は自国で利益を出し、海外では低価格で販売することで市場を広げてきた。
「技術力が低く、また海外での営業の難しさから、国内の消費者が犠牲になることもあり得る」
という考え方もあったが、年間数十兆ウォン(10兆ウォン=約7000億円)もの利益をたたき出しながら、
相変わらず韓国の消費者をかも扱いする慣行が続いていることについて、批判の声が上がっている。

 サムスンやLGが韓国での販売価格を高めに設定できる理由は、両社だけで国内市場の95%以上の
シェアを握っているからだ。米国市場では韓国だけでなく日本や中国など、さまざまな国の企業が
激しい価格競争を繰り広げているが、韓国国内ではその正反対ということだ。



寡占化が進むと、グローバル企業にとっては競争力がついて良いかもしれませんが、その国の国民にとっては、どうやら幸せではないようです。




サムスン栄えて不幸になる韓国経済 /
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